波動功
波動功 Hadokou
波動功は生命の奥にある自然の波動に身をまかすということが目的です。波動功は、九つのシンプルな波の動きからなっています。大らかにゆっくりと自然の波動を体感していきます。動きが簡単ですから、はじめての方にも、波の動きに心身がマッサージされるような気持ちよさを感じることができます。からだの内外が、気の波動に包まれる感覚を実感できるのです。やや大股中腰ゆっくりと動いていきますので、脚力がつき腰のまわりの筋肉が強化されていきます。腕や上半身は、柔らかく円く動いていきますので、肩こりや緊張をほぐし、内臓の働きを高めるのです。
85年に発表された『波動功』は、ビデオ「自然身法・波動功(金星企画)」「黄山・気功(BABジャパン)」に収録され、入門気功、自然との交流気功として全国に広まっていきました。日本発のスタンダード気功として中国気功界にも紹介されました。
波動功の構成は、三つの準備功(1螺旋ファンソン功 2波動ファンソン功 3陰陽深呼吸)と九つの動作の連なる本功九式とで構成されています。一つ一つの動作が、自然の生命の動きであり、日常の行住坐臥の奥に秘められている動きなのです。全体を一つの型として流して練習してもよいし、一つ一つを取り出して練習してもかまいません。
動画でご覧いただけます(YouTube 2018年2月アップロード)
https://youtu.be/_ACCxBK4dwI
波動功九式 簡単紹介
1式 なぎ | 2式 はばたき | 3式 ゆらぎ |
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水面が凪いだように、心身の緊張を抜いて楽に立つ。 | 鳥がはばたき、舞い上がり舞い降りるように、ゆったり腕を上下に動かす。 | 両腕の間の気球が膨らみ、すぼむように、両掌が左右に広がり、次に近づく。 |
4式 そよぎ | 5式 ながれ |
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風にそよぐ大木のイメージで、両腕をゆっくりと回していく。 | 水面に手を浮かべ、水流にゆだねるように、掌を下に向けて、平らに回していく。 |
6式 ゆられ | 7式 うねり | 8式-① ふきぬけ会陰タントウ |
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胸の前の気球を下に沈め、前方におす。また、胸の前に気球を引き寄せ、前方に返す。 | 大海原のうねりをイメージして背骨から腕へ気を広げ、おなかにゆったり戻す。 | 気の球をおなかの前でイメージする。足の重心は、少しつま先に。 |
8式-② ふきぬけ地気上昇 | 8式-③ 帯脈タントウ | 8式-④ ふきぬけ天気下降 |
足下から大地の気が身体の中をふき上がり、頭上から天空へ吹き抜けるように開く。 | 前掌をお臍に向け、両腕でお腹全体を包むようにする。足の重心は、真ん中に。 | 天空の気が頭上より入り、体を下り足下より大地に抜ける。 |
9式-① しずめ | 9式-② まかせ(自然動功気舞い) | 9式-③ おさめ(収功) |
胸の前に気球を抱くように、腕を浮き輪のように、丸く保つ。両足の重心は、踵寄りに。 | 自然の気のながれにまかせて微妙に動いていく。 気持ち良く動いたあと、徐々に初めの姿勢に戻る。 | 体外に広がった気を両掌で集めるように、左右前方から臍の奥、丹田へと収める。 |
本功九式のワンポイントアドバイス
1なぎ :上半身の緊張を抜いて楽に立つ。
2はばたき :膝も腕・腰の動きに連動させ、軽く上下に動く。
3ゆらぎ :広げ過ぎて肩の緊張状態にならない範囲で繰り返す。
4そよぎ :上半身の過剰な前傾にならないように上虚下実を実践する。
5ながれ :腰・臍の動きと連動し、手・腕が回るように。
6ゆられ :上半身の突っ込みすぎに注意して腰を柔軟にして動く。両掌の向きにも意識してみる。気の球をあやつるように。
7うねり :上半身の突っ込みすぎに注意して腰を柔軟にして動く。大海原のうねりをイメージして背骨から腕へ気を広げ、胸の前方に両手が近づくと逆に戻したりする。
8ふきぬけ :しゃがむ時膝への負担になり過ぎないように。
9-①しずめ :腕の重さを肩のみで支えないように。全身に分散させてみる。
9-②まかせ(自然動功気舞い):半分・意識的、半分・無意識的に気持ち良く動いて徐々に静かにしていく。
9-③おさめ(収功):下腹部に両手を集め、気を丹田に収める。両掌で全身をマッサージして日常生活に戻っても良い。
波動功の効果
● ゆったりとした動きは、内と外の筋肉群をマッサージする
波動功の目的は、「内功」ということです。これはからだの内側を練るという意味ですが、四肢や皮膚などのからだの外側に対して、内臓や骨髄などからだの中枢を訓練し強化するということです。不随意である内臓を動かすことは容易にできませんし、内臓に直に触れることもできないわけです。ところがゆっくりと自然な原理にそった動きを、気持ちを込めて行うと、遠隔操作をするように内臓が動いてくるのです。内臓が動くとは、内臓筋がマッサージされ蠕動が盛んになり、内臓の働きが改善され機能が高まってくるということです。
実際の動作としては、リラックスした自然体の状態から手足を緩やかにゆっくりと動かすといった「動功」と自然体のまま立っているといった「静功」があります。こんな筋肉の緊張や激しい有酸素運動を伴わない動作になんの効果があるのかと疑ってしまいますが、全身が程よくリラックスしバランスした波動功を続けていると血行が良くなり、体が心地よく温かくなってくるのを感じてきます。腕をゆっくりと上下に動かすといったことを試みていくと、胸や腹などの体の内部にもマッサージされるような動きを感じてきます。実際に便秘の人がトイレに行きたくなってしまうというような効果がでてくるわけです。
● からだの外を動かし、中を鍛える
一般に四肢や体を強く動かすことが内蔵にもいいという健康感がありますが、気功では「外剛内軟」といい、体の外側を強く緊張させる動きは、むしろ体の内部の自然な動きを阻害してしまうと考えます。胸や腹の緊張を抜き、四肢を柔らかく動かすと体の内部の働きが高まり内臓は強くなるという「外柔内剛」が大切にされるのです。このことは最新の心身医学の激しい筋肉運動は心身のストレスを増して自然治癒力を弱まらせ、血液中の活性酸素を増やし免疫力を弱まらせるといった研究成果とも合致するわけです。
内臓が調えば、体の外側の皮膚や筋肉も丈夫になり、四肢の動きも自然に活発になってくる。波動功は、自然な姿勢と意識的な緩やかな動作によって、内臓を動かし働きを高め、その結果、体を丈夫にし、心を整えるエクササイズといえるのです。
● 陰陽を調和する
波動功は、ある姿勢や動作をとることにより筋肉、骨格、意識を適度な緊張状態におきますが、同時に出きるだけ心身を安静な状態にするわけです。緊張の中に弛緩があり、弛緩の中に緊張があるといった微妙な陰陽調和が整った状態は、自律神経を安定させ、免疫力を高め、生命力をつちかうのです。