太極棒尺気功
太極棒尺気功
太極棒尺気功は、すりこぎほどの棒を両掌の間にはさんで静かに回すといった簡単な功法ですが、道具をほとんど使わない気功の中にあって特殊なものです。両掌の間に棒を持つことで、両掌の中心がいつでも体の中心と向かい合い、中心感覚を得やすいという大事な利点があるのです。中心の感覚とはまさに内臓の感覚であり、気が集中するといわれる丹田の感覚です。
気功を続けていくと全身が緩やかに解放されたようなリラックス感が得られますが、一方、腹部の中に粘って流動する内動感や力が集中しているような充実感を感じてきます。腹の前で静かに棒を回すだけという簡単な動作で丹田の感覚が容易に得られ、内臓の働きが高まります。慢性病の方や車いすの方など誰もが練功できるのです。
太極棒気功を近代に北京で広めた趙中道老師は119歳の長寿を全うされ、胡耀貞や郭林といった現代の気功大家に多大な影響を及ぼしました。趙中道老師は太極棒尺気功と呼ばれる以前は、太極柔術と言っていました。
当会で稽古しているのは、馮志強老師が陳発科老師から学んだ太極棒術、胡耀貞老師から学んだ太極尺内功、当会で工夫した太一波動功、太極柔術(太極棒護身法)です。また、槍を用いた槍術・波動功も稽古しています。
器具の種類
功法に用いる棒状の器具は、太極棒は主に側面を握って使用します。握れないものを太極尺と呼び、両端のお椀状の部分を両手で左右から挟んで用います。
当会オリジナルの太一棒は、その両方を兼ねられるように工夫したものです。分解組み立て式で、中心の球や、左右の半球を転がしてローリング・マッサージもできるようになっているすぐれものです。(ただ、太一棒は製作所が休業のため現在在庫なしです。)
一般に、太極棒で棒尺両方を兼ねて練習できます。棒尺兼用の一般の丸棒の場合、直径4cm、長さ34cmほどが扱いやすいでしょう。
太極棒 | 太極尺 | 太一棒 |
---|---|---|
太極尺気功
馮志強老師が主に胡耀貞老師から受け継いだ功法で、内功を主とします。
1腹抱無極 2揉木磨盤 3抖動丹田 4伸臂貼背 5任督収放
6丹田順式循環 丹田逆式循環 7左推尺揺旋 右推尺揺旋 8丹田移動法
9定歩左右豎尺陰陽 活歩左右豎尺陰陽 10正転法輪一周 反転法輪一周
11胸前流尺 12無極守窍 13収功
太極棒気功
馮志強老師が主に陳発科老師から受け継いだ功法で、腕のねじり力、握力、全身の筋骨強化、擒拿(関節技)への応用を主とします。
1擰把(平推上盤、中盤、下盤) 2左右撹柱倒豎旗 3胸前懐倒乾坤
4左上烏龍撹柱 右上烏龍撹柱 左右中烏龍撹柱 左右下烏龍撹柱
5左右立擰棒式 6左右撹柱献果 7双握掌揺腕 8無極式守窍
9軽震拍打気海(閉気)
注:功解効果 増強任帯靭性 強筋易骨 舒通経路 擒掌解脱
方法:重意不重力、以意為至
太一波動功(自然身法研究会編)
当会オリジナルの套路(型)で、馮志強老師の太極棒・太極尺を波動功の套路に沿って、初心者向けにアレンジしたものです。練習ビデオも発売されています。
太一波動功 | 太極尺気功 | 太極棒気功 | 回数等 |
---|---|---|---|
1ゆるめ | 1腹抱無極 | 1~5分 | |
2ふゆう | 8丹田移動法 | 上下の移動 8回 | |
3ゆらぎ | 4伸臂貼背 | 胸の開合<順> 8回 | |
4そよぎ | 双手立円功 左右4回 | ||
5ながれ | 2揉木磨盤 | 平円<逆、順> 左右4回 | |
6ゆられ | 7推尺揺旋 | <前後円>左(下の円 4回)右(上の円 4回) | |
7ひねり | 4回 | ||
8しぼり | 5立擰棒式 | 左右にしぼり出す 4回 | |
9けんき | 2撹柱倒豎旗 | 左右4回 | |
10ウーロン | 4烏龍撹柱 | 左右4回 | |
11大周天 | 10転法輪一周 | <逆、純>3回 | |
12しずめ | 12無極守窍 | 収功 1~5分 | |
13まかせ | 3抖動丹田 | 1分 | |
14おさめ | 11胸前流尺 | 収功 |
太極棒を使った自然操法
太極棒スワイショウなど、棒の操法に慣れ、日常生活における道具の扱い方を練習します。
正面合芯、上下合芯、前後合芯、合芯観相、垂直昇降、芯転直進等を早く習得できます。
(→ 身のこなし) 太極柔術の基礎ともなるものです。
太極柔術 (太極棒護身法)
趙中道老師は、太極棒尺気功をもともと「太極柔術」と呼んで広めました。その棒を用いた柔術を今に活用しようとするのが、自然身法の太極柔術です。
太極棒または太一棒を用いた護身術で、突き、打ち、払い、さばき、投げ、回し打ち、擒拿(チンナ)等の技法があります。間合い、さばき、かわし、入り身などの護身の技を短期間で身につけることが可能です。また、短刀、長刀、剣、棒、槍、杆の武器法に入る前の基礎練習にもなります。単練(一人での練習)と相練(二人相対しての練習)があります。
(→ 自然護身法)
槍術・波動功
長い棒又は槍を用いて、波動功を行うことにより、水平感覚、垂直感覚、中心感覚をリアルに体感することができ、内功としての効果を高めるとともに、槍術の基本功を兼ねます。
1なぎ | 十字無極功 | 1分~3分 |
2ふゆう | 丹田移動法 | 上下の移動 3往復 |
3ゆらぎ | 伸臂貼背 | 前まわし 3回~6回 |
4そよぎ | 立円功 | 立円回し 左右3回 |
5ながれ | 揉術磨盤 | 平円回し 左右3回 |
6ゆられ | 推槍揺旋 | 前後回し 順円左右3回 逆円左右3回 |
7うねり | 開合滑槍功 | 開合 順左右3回 逆左右3回 |
8しなり | 夜叉探海 | 左右3往復 |
9ひねり | 回頭海底針 | 左右3往復 |
10とおし | 四隅貫気 | 前後・左右3往復 |
11ラン・ナー | 攔ラン・拿ナー | 外回し・内回し 左右6回 |
12ランナーチャー | 攔拿扎 | 左右3回 |
13くるま | 前後車輪功 | 前後車輪 前回し3回 後ろ回し3回 |
14まとい | 螺旋昇降功 | 頭上平円背回し 順逆3回 |
15あめつち | 天地循環功 | 順逆3回 |
16しずめ | 降槍丹田 | 収功1回~3回 |
回数や時間は自由に増やして構わない